南庄の桂花巷
客家人は閩南(福建省南部)人に遅れて台湾に移住してきたため、開けた平野部ではなく山沿いに住むことが多かった。台湾北部では桃園、新竹などにも多くの客家人が住んでいるが、客家の町といえば頭に浮かぶのは「苗栗」。台湾の国道3号線はこうした客家の町を繋げるように通っているため「台3線客家ロマンチック街道」という言葉がうまれている。客家人の町を代表する一つが「南庄」で、交通不便ではあるが多くの観光客が訪れている。
《竹南車站》
「竹南」駅は西部縦貫線の台中線(山線)と海岸線(海線)の分岐点。再び合流するのは「彰化」駅なので、苗栗県と台中市の大部分は海線と山線が並行して走っている。竹南駅から「南庄」行きバス停まで少し歩く。下の写真がバス停から撮ったもので、折り返し運転する台湾好行バスと、正面には竹南駅が見えている。
台湾ビールが好きな人は、台湾最大のビール工場「竹南啤酒廠」に行ってみよう。インスタ友達が写真をアップしていたので、ちょっと行ってみたい気がする。
《竹南啤酒廠》
台湾最大のビール工場。一般公開されており試飲もできる。映えスポットとして知られているが、タクシーを使うか30分歩くか…。
↓ 写真を使わせてもらったのは
https://motto.tw/miaoli-county/tourism/zhunan-beer.html
《南庄》
4枚目は台湾にもある乃木坂。「乃木崎」は「乃木坂」のこと。いずれも乃木将軍が由来。乃木将軍は台湾でも人気がある?
黄祈英は広東省出身の客家人。「孓身」(単身)で海を渡り、原住民のサイシャット族と協力して町を開拓、多くの客家人を呼び寄せた。
《銅鑼》
30年以上前になるが、「悲情城市」などで知られ、台湾ニューシネマを代表する侯孝賢監督の名作「トントンの夏休み(冬冬的假期)」の舞台になったのが「銅鑼」。客家人が多く住んでいる。駅から少し歩くと、今でも素朴な田園風景が広がっている。映画では冒頭に出てきた卒業生の答辞や「仰げば尊し」が印象的だった。ドラマの中で重要な役目を果たしている駅前のロータリーや、滞在した祖父の病院が駅のすぐ近くにある。
《勝興車站》
台湾西部縦貫鉄道建設では苗栗・台中間で山線、海線論争が起きている。結局は台中線(旧山線)で決着がつき、1908年に全線が完成した。高所を通るため急勾配が続き輸送力が弱かった。このため1922年には海岸線が完成、こちらがメインルートになった。山線は1998年に新ルートが完成、再びメイン路線として復権している。旧山線は廃線となったが、一部路線でレールバイクが走り人気を集めている。観光路線として復活させる動きも本格化している。
苗栗舊山線鐵道自行車
https://youtu.be/A9r7vRexkOg?si=t4ey6LdjdmvDuQnG
《通霄》
竹南から海線を南下すると「通霄」駅がある。通霄駅から10分も歩けば「通霄神社」に出る。通霄神社から虎頭山を上って行くと「日露戦役望樓紀念碑」があるが、年寄りには最後の階段を上るのが厳しかった。風車群や台湾海峡が望める雄大な景色が広がっているが、私が行った日は雨模様で景色が良くなかった。もう一度、晴れた日に出かけたい。
満州や日本海で戦われた日露戦争の記念碑がなぜ台湾にあるのか? 勝敗を決定づけたのは日本海海戦だが、そのためにはロシアのバルチック艦隊の通過を監視している必要があったんですね。日本は第二次世界大戦で負けたので、今は「台湾光復紀念碑」と書き換えられているが、たぶん「日露戦役望楼記念碑」としての方が知られていると思う。